お知らせ
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作成日:2022/06/16
マンション評価見直しで最高裁判決(2022年4月19日)



皆さん、新聞テレビでご存じの方もいらっしゃると思いますが、最高裁で税務について興味深い判決がありましたので、紹介します。

首都圏のマンションを相続した遺族5名が相続税を0円と申告しました。これに対し札幌国税局長が、財産評価通達6を適用し評価通達の定める評価方法によらずに他の合理的な評価方法によって評価する旨を上申し、国税庁長官がそれを指示し、税務署が「伝家の宝刀」と呼ばれる例外規定を使って3億円超を追徴課税しました。

もう少し問題となった部分を説明しますと、今回の原告は、父が2009年に計138700万円(杉並不動産83700万円 信託銀行からの借入63000万円 評価額約2億円、川崎不動産55000万円 信託銀行他からの借入42500万円 評価額約13300万円)で購入したマンション2棟を12年に遺産相続し、通達を元に計約33千万円と評価し、購入時の借金を差し引いて相続税を0円と申告しました。

 この様に路線価は実勢価格より低く設定され、首都圏などの立地が良いマンションでは相続税の評価で差額が大きくなるため、相続前に購入すれば、現金のまま保有するより資産を圧縮でき、相続税を減額できる効果があることを利用して申告をしたという状況です。

国税庁としては今回のケースについて、この差額を利用した「行きすぎた節税」と判断して例外規定を使い、土地・建物を約127300万円と評価し直し、約33千万円を追徴課税しました。

この妥当性が争われた訴訟で最高裁法廷は19日、取り消しを求めた原告の上告を棄却する判決を言い渡し、「税負担の公平に反する事情がある場合には例外規定を使える」という初めての判断を示したことになります。

最後に、原告側の発言にあるように「例外規定の適用基準が曖昧」ということが、今後の相続税の申告に影響を与えるかもしれません。

 

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