作成日:2025/02/18
金融政策のキーワード
日銀は、1月24日に開いた金融政策決定会合で、政策金利としている無担保コール翌日物金利の誘導目標を、0.5%へ引き上げることに決定しました。(従前は0.25%)
政策金利が0.5%になるのは2007年2月〜2008年8月以来と約17年ぶりの水準となり、政策金利が0.5%を超えたことは1995年以来ないことから金利水準は過去30年間で最も高い水準となるとの事ですので、非常に大きな変化であるといえると思います。
政策金利が上昇すると、家計には変動金利の住宅ローンを借りている方やこれから新たに住宅ローンを組もうと考えている方に影響を与えます。企業にとっても運転資金や設備資金の融資に影響が出るため、今後の動向には注目が集まっていることでしょう。
引き続き金利が上昇していくのかそれとも横ばいないし利下げの局面へ転換するかを予測することは難しいためここでその分析をすることは避けますが、金利動向に関する基礎知識として以下に2つのキーワードをご紹介しますので、ぜひここで覚えていってくださいね。
@「無担保コール翌日物金利」・・・銀行、証券会社、保険会社などの金融機関が日々の短期的な資金の過
不足を調整するために資金融通を行なうコール市場と呼ばれる取引市場が存在します。
コール市場では、約定日に資金の受け渡しを行い翌営業日を返済期日とするオーバーナイト物(翌日物)と
呼ばれる取引が無担保で行われる取引の中心となっていて、ここで取引される金利を無担保コール翌日物
金利といいます。
日本の中央銀行である日銀はこの無担保コール翌日物金利を政策金利と位置付け、金融政策としてこれ
を適正であると思われる水準に誘導することで経済を安定させる役割を担っています。
@「中立金利」・・・一般的には、市場金利が上昇すると景気を引き締めインフレを抑制する方向に導かれ、市
場金利が下落すると景気に対しては緩和的となり、景気浮揚を促すことになります。景気への影響が上記の
ように引き締め的でも緩和的でもなく、景気動向に対して中立となる金利の事を中立金利といいます。
今回日銀が政策金利の誘導目標を引き上げた際、金融政策決定会合後の記者会見にて植田総裁は、
名目の中立金利は1%〜2.5%くらいの間にあり、現在の政策金利が0.5%になったとしてもまだ相応の距離があると見ている旨の発言をしています。
この発言は今後のさらなる利上げの可能性を残すとともに、金融緩和の方針が継続していることを伝えて市場関係者を安心させる意図があると考えられます。